これは君のビジネスだから

仕入先の親父さんに「これは君のビジネスなんだから」と言われたとき、目が覚めるような思いがした。

夏の終わり、大田市場そばの雑居ビルで僕は、仕入先と打ち合わせをしていた。徐々に売上は伸びています、もっと数字を作りたいので新たな取組に着手しております、来月にはもう少しいい結果がご報告できるかと思います、新規施策が多いですが、引き続きお力添えのほどを、、そんな内容を報告していたと思う。

仕入れ先から調達している商材は、僕の勤め先にとっては全く未経験のカテゴリのアイテムで、僕はこの新規商材の担当を任されていた。自分で言うのは気恥ずかしいけれど、細かい対応を厭わない取組姿勢は仕販双方から評価されていて、立ち上げ当初は散々だった数字も徐々に安定してきた。僕は勤め先の名代として、実に忠実だった。

仕入れ先の親父さんにしてみれば、何気なく発した一言だったのかもしれない。けれど、勤め先の名代という立場に甘えて、行動規準の給源を外部(=勤め先)に委ね、自分がどうしたいか、考えることを回避していることに気づかないふりをしてきたからこそ、この言葉は僕の胸に強く刺さった。