まずは、楽しいところから

本を読むようになった。スマホを触らないようになり、手持ち無沙汰になる時間を埋めるように、文庫本の小説を読んでいる。読むのはもっぱら電車に乗っている時間やホームでの待ち時間で、細切れではあるけれど、毎日30分から1時間ほどのボリュームになる。400ページくらいの小説であれば、週に2冊ほど読むことができる。

小学校の頃は本当によく本を読んでいた。毎週市立図書館に連れて行ってもらい、10冊目いっぱい借りて、借りた当日に全部読んでしまったこともあった。テレビゲームの時間は制限されていたし、外でスポーツをする性分ではなかったので、ズッコケシリーズのような児童小説をよく読んでいた記憶がある。

中学生の頃は親が読んでいた宮部みゆきにハマった。『火車』とか『我らが隣人の犯罪』とか、中学生には想像しにくいテーマでも、とにかく興味深かった(クレジットカードも怖いな、とか)。あとは、同級生に勧められた宗田理『僕らの~』シリーズとか、重松清とか。

高校生になると、一気に読書量が減った。パソコンに興味が移ったこともあったし、部活動も勉強も大変だったこともある。たまに背伸びして新書を買ってみて、いまいち面白くなかったりした。

浪人生の頃は、志望校へのあこがれを膨らませるように森見登美彦を読んでいた記憶があり、そのまま大学生になっても読み続けた。ところが大学3回生ごろからは、大学生協の知的に関心が持てそうな学術書ばかり買うようになり、けれど大半を読まずにため込む不精な生活を送り、このころになるともう、1つの本を通しで読むことはほとんどなくなっていた。そんな体たらくで文系の大学院に進学し、ろくに本と向き合わないまま修士課程を終えた。

自分をいい感じに稼働させるためには、自分で自分の機嫌を取ってやる必要があることを、社会人になって知った。例えば僕は、トライアスロンをやっているけれど、走ることがどうも苦手で、走る練習はメニューから外してしまいがちだった。そんなときにピッチや心拍を追い求める練習を組んだって、一人では絶対にやらない。だから僕は、楽しく走れる範囲で取り組み、まずは走ることへの抵抗感を減らし、次第に練習量につなげていく作戦をもくろんだ。

この目論見はうまくいって、結果としてコンスタントに走る練習をするようになった(あまり心拍は上がらないけれど)。読書もそんなものかと思っていて、まずは楽しい範囲で読書を再開して、次第に小難しい本を手懐けるられるようになればと思う。

したこと

読み終えたもの